アマン産の乳香は世界的に有名ですが、国際的な調香師たちが選ぶ最も魅力的な乳香は、実はソマリランド産です。これらの樹脂は、木が傷つけられた際に修復物質として分泌されるもので、樹上に滲み出て数日間で固化します。現地では10〜15日ごとに樹脂を収集しています。
ソマリランドの乳香品種は、主にBoswellia carterii(フランキンセンス・カルテリ)とBoswellia frereana(フランキンセンス・フレレアナ)の2種類で、さらに現地固有種のBoswellia rivae(フランキンセンス・リヴァエ)も存在します。
カルテリ乳香の木は、高海抜の断崖や山間部に分布し、ゴリス山脈の北斜面で豊富に採取されます。一方、フレレアナ乳香は低海抜の丘陵地帯に多く見られます。
B. frereana(フレレアナ乳香)はソマリランドでのみ見られる固有種で、砂質の緩やかな砂漠地帯で生育します。その成分には、高濃度のピネンに加え、ツジェン(thujene)やシメン(cymene)も含まれます。フレレアナ乳香に含まれるp-シメンは繊細なバルサム系の香りを持つ成分で、健やかな状態をサポートします。ただし、酸化が進むと酸やフェノール類に変化するため、保存期間が長くなると皮膚にわずかな刺激を与える可能性があります。
また、フレレアナ乳香には28種類のセスキテルペン化合物が含まれ、全体的な香りは優しく、エキゾチックな雰囲気を持ちます。柑橘系やフローラル系の香りと合わせると、柔らかくミステリアスな香りを生み出し、心に深い安定感をもたらすアロマセラピーの材料としても使用されています。
現在の年間収穫量は約150トンで、潜在的な生産量は年間400トンと見込まれています。
現在の乳香の品種と分布
プントランド: カルテリ乳香(Boswellia carterii)
ソマリランド: カルテリとフレレアナ乳香(Boswellia carterii & frereana)
エチオピア: パピリフェラ乳香(Boswellia papyrifera)
ケニア: ネグレクタ乳香(Boswellia neglecta)
スーダン: パピリフェラ乳香(Boswellia papyrifera)
イエメン: サクラ乳香(Boswellia sacra)
インド: セラータ乳香(Boswellia serrata)
オマーン: サクラ乳香(Boswellia sacra)
詳しくはFeyond先生のコラム【ソマリランドから漂う凝脂の香り】をご覧ください。
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学名 Boswellia frereana
抽出部位 レジン
抽出方法 水蒸気蒸留法
産地 ソマリア
採取季節 一年中
科/属 カンラン科/ボスウェリア属
TSCA CAS - 93164-94-4
引火点 42(°C)
EINECS CAS 289-620-2
密度/比重 0.840 - 0.880 @ 20°C
屈折率 1.450 - 1.480 @ 20°C
EINECS 289-620-2
外観
臭い
主要成分
α-ピネン、ツジェン、シメン
INCI名
Boswellia Frereana Resin Oil